植物は、光合成によって得た炭素をもとに、糖、有機酸、アミノ酸、抗酸化物質など、さまざまな代謝物を合成しています。これらの代謝物は、植物の成長を支えるだけでなく、環境ストレスへの応答や、食品としての機能性にも関わっています。

本研究では、機能性物質などの代謝物に着目し、分子レベルの変化が植物の代謝機能としてどのように現れるのかを解析しています。特に、抗酸化作用を持つ代謝物の蓄積や変化を指標として、植物の生理状態や環境応答との関係を調べています。また植物の代謝機能は、一つの遺伝子や一つの酵素の働きだけで単純に決まるものではありません。関連する分子の働きを変化させても、植物体内での代謝物の蓄積が期待通りに大きく変化するとは限りません。これは、代謝経路全体の流れ、基質供給、分解や再利用、組織や発達段階、環境条件などが複雑に関わっているためです。そのため本研究では、代謝物の量だけでなく、植物の成長、ストレス応答、生育状態などとあわせて評価します。


・代謝物の蓄積と植物機能の評価
植物は、乾燥、塩、強い光、温度変化などの環境変化に応じて、体内の代謝状態を変化させます。抗酸化物質などの機能性代謝物は、こうした環境応答に関わる重要な要素の一つです。一方で、代謝物の量は単純に「多ければよい」とは限りません。植物体内の代謝は複数の反応が連続して成り立っており、一つの段階だけを変化させても、目的とする代謝物が大きく増えるとは限りません。また、代謝物の蓄積は、成長、代謝バランス、酸化還元状態などとも密接に関わっています。本研究では、機能性代謝物の蓄積量に加えて、植物の成長や生理状態もあわせて解析します。代謝機能を変化させたときに、植物個体の中でどのような応答が現れるのかを調べることで、分子レベルの変化が植物の成長や環境応答にどのようにつながるのかを理解することを目指しています。


上部へスクロール