分子レベルの変化が植物個体の形や成長に与える影響

本研究では、表皮細胞分化に関わる遺伝子を手がかりに、分子レベルの変化が植物個体の形態や成長にどのような影響を及ぼすのかを解析しています。
植物の表皮は、外界と直接接する最外層の組織であり、環境との相互作用において重要な役割を担っています。根では、表皮細胞から形成される根毛が水分や養分の吸収に関与し、地上部ではトライコームが物理的防御や環境応答に関わります。そのため、表皮細胞分化は、植物が環境と関わりながら成長するうえで重要な過程の一つです。
これまでの解析から、表皮細胞分化に関わる遺伝子の発現を変化させると、根毛やトライコームだけでなく、生育量、抽苔時期、葉数、葉面積など、植物個体全体の形質にも変化が現れることが分かってきました。このことは、表皮細胞分化に関わる遺伝子が、局所的な細胞分化だけでなく、植物個体の成長にも影響する可能性を示唆しています。
また、類似した遺伝子であっても、その機能や表現型としての現れ方は植物種によって異なる場合があります。そこで本研究では、シロイヌナズナやトマトなどを用いて、表皮形質と個体成長への影響を比較し、分子レベルの変化が植物個体の形や成長にどのようにつながるのかを明らかにすることを目指しています。

- 表皮分化の変化が植物の成長に及ぼす影響
表皮細胞分化に関わる遺伝子の発現を変化させた植物では、表皮の形質だけでなく、葉の成長、生体重、抽苔時期など、植物個体レベルの形質にも変化が見られています。本研究では、これらの変化が互いに連動して現れているのか、あるいはそれぞれ独立した変化として現れているのかを解析します。表皮分化の変化と植物全体の成長との関係を整理することで、分子レベルの変化がどのように植物の形態や成長として反映されるのかを理解することを目指しています。詳細はこちら
- モデル植物と作物における形質発現の比較
モデル植物で見られる分子レベルの変化が、作物ではどのような形質として現れるとは限りません。類似した遺伝子や分子レベルの変化であっても、植物種によって表皮形質や成長への影響が異なる場合があります。本研究では、モデル植物と作物を比較することで、分子レベルの変化がそれぞれの植物でどのような形質として現れるのかを解析しています。この比較を通して、植物種による形質の現れ方の違いを理解し、分子レベルと植物個体の形態・成長との関係をより深く明らかにすることを目指しています。
